矯正歯科の選び方(例外もあります)

初診前に誰でも出来るチェックポイント

・・これは、私が患者さんを県外に紹介する際の参考でもあります。
1.以下のa,b に当てはまる歯科医である。
 a.日本矯正歯科学会の認定医・臨床指導医に認定されていること。
  (「日本矯正歯科学会 認定医・臨床指導医一覧」で検索してみて下さい)。
   どちらかと言えば、審査に指定されている症例の種類が多い臨床指導医が良さそう。
 b.日本臨床矯正歯科医会の会員(「日本臨床矯正歯科学会 近くの会員医院」で検索してみて下さい)
    ・・・全会員が上記の認定医以上と思います。
*私は、県外に患者さんを紹介する場合には、まずa,b 両方に合致するところ、なければaに当てはまるところから探します。
2.ホームページがあれば、資格・経歴・その他をチェック
 a.(再掲)上記1の認定医・臨床指導医の資格
 b.矯正担当医の経歴で、大学の矯正歯科(歯科矯正学などの呼称もあります)あるいは矯正歯科専門医院の所属歴がある。
 c.出来れば、矯正歯科認定医以上で構成される矯正歯科研究会(ESKなど)に所属して定期的に研鑽している。
 d.アゴを広げるので歯を絶対抜かずに矯正治療を出来ると宣言していないこと。
  ・・・アゴの大きさと歯の大きさは、生まれ持ったもの。矯正歯科医は誰でも歯を抜かずに治療をしてあげたいものです。奥歯が逆に噛んでいて成長期の子供に用いる固定式の装置=上顎急速拡大装置で上顎を広げる例外を除き、アゴの骨は広がりません。歯を絶対抜かないと宣言してあれば、そちらの方が患者さん受けが良いですが・・・・・拡大床を使っていたけど、どうも?という相談をされる方が増えている気がします・・・(以後、省略)
 e.治療前後の歯列模型(口の写真ではなく石膏模型)の画像がある場合には、上下の歯列を真上から写してあること。・・歯列模型の良い点は、口の中では写しにくい、上下の歯列に垂直にカメラを構えられることです。

初診時のチェックポイント

方針イメージ

X線セファログラム【頭部X線規格写真】(上の写真) を撮影した上で、矯正治療の説明を行っていること。
・・・上下の骨の位置関係によって、歯をどう動かすかが違ってきますので、矯正治療には必須の機器です。
X線セファログラムの必要性:矯正治療は、外見上の歯並びだけでなく、歯が生えている土台である「上顎骨」「下顎骨」が、頭全体でどのような位置にあるかを把握した上で治療方針をたてます。家を建てる時に、地面(地盤)がどうなっているかを調べられると思います。それと同じです。このX線セファロで、上下顎の関係や歯の傾斜などを調べます。例えば前歯が出ている時に、上下顎の異常が原因か、歯の位置や傾斜の異常が原因かなどを調べます。大学病院などで、矯正を専門的に学ぶ際に、真っ先にセファロ分析を習うほどの基本的なものです。



  • 矯正歯科についてよく聞かれること
矯正歯科の名称で分かりにくい用語について
一般の方には、「矯正歯科」、「矯正歯科専門」と「矯正歯科認定医」、「臨床指導医」の違いが分かり難いと思いますので、ご説明致します。
なお、以前は学会認定の「専門医」の名称が2019年まではありましたが、「臨床指導医」と改称されましたので、「矯正歯科専門医」という資格は現在存在しません。
矯正歯科
歯科の標榜科名の一つで、通常は、歯科医院で矯正治療を行っているということを示しています。 厚生労働省の平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告では、 全国の歯科医院数68,609のうち、矯正歯科を標榜するのは24,627施設あります。
矯正歯科認定医
歯科医師免許取得後更に、矯正歯科の専門教育を受け、5年以上の研鑽・実績を積み、日本矯正歯科学会の認定医試験に合格した歯科医です。 日本矯正歯科学会の矯正歯科認定医は全国に3282名です。
矯正歯科臨床指導医
日本矯正歯科学会認定臨床指導医は、矯正歯科認定医になった後に日本矯正歯科学会の臨床指導医審査に合格した歯科医(全国で349名/平成30年12月)です。 以下の条件をクリアしています。
1.7年以上継続して日本矯正歯科学会の会員であること。
2.日本矯正歯科学会認定医資格を取得した歯科医師。認定医より厳しい資格で、認定医になっていない歯科医がいきなり臨床指導医試験を受けることはできません
3. 学会の定めた10種類の課題症例を自分で治療し、治療後2年以上経過した資料を含めて審査を受け、学会の定めた基準を満たし合格すること。10症例すべてに合格することが求められます。歯列の石膏模型、顔の写真(目隠しして誰か分からないようにしないと審査に不合格です)、口の中の写真、各種X線写真などすべての資料が完璧な形でそろっていなければいけません。しかも患者さんからの同意書も必須です。 審査は、公平性透明性を確保するため、課題症例の採点は匿名で行われます。しかも、審査を受ける歯科医とは別の地区から選ばれた臨床指導医資格を有する審査委員が審査します(例えば、九州の歯科医の審査委員は、学会が指定した九州地区以外の臨床指導医の委員が審査します)。 日本矯正歯科学会臨床指導医は5年毎の更新制です。 上記の厳しい審査に通っても、有効期間は5年間だけです。その5年間内に新しい症例で次の更新審査に合格しないと失効します、 更新審査も、歯列の石膏模型、顔の写真、口の中の写真、各種X線写真などすべての資料が完璧な形でそろっていて、提出した症例全てが合格しなければいけません。運転免許に例えれば、毎回学科試験・実技試験を受けるようなものです。